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退職引き止めがしつこい場合の対処法|違法性や注意点を弁護士が解説

2025年06月02日
  • その他
  • 退職引き止め
  • しつこい
退職引き止めがしつこい場合の対処法|違法性や注意点を弁護士が解説

「令和5年度の岩手県労働委員会における労働相談実績について」によると、退職に関する相談件数は116件でした。労働相談の内容別件数は999件のため、退職相談は全体の11.6%を占めています。

退職は労働者の自由であり、強引な引き止めや不当な圧力は認められません。しかし、しつこい引き止めにあいトラブルになるといったケースも見受けられます。

本コラムでは、しつこい退職引き止めに直面した際の対処法や注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。


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1、退職の引き止めがしつこい! これって違法?

労働者には退職の意思を申し出る自由があり、退職したいという労働者の意向を一方的に拒否することは違法です

以下では、退職の引き止めがしつこい悪質なケースを紹介します。

  1. (1)退職届を受け取らない

    退職届を提出しようとしても、会社側が「認めない」「受け取らない」といった対応をするケースがあります。

    しかし、退職の意思表示には基本的に会社の承認を必要としません。民法では、期間の定めのない雇用者(正社員など)の場合、退職の申し入れをした日から2週間経過後に退職が成立すると定めています。

    したがって、会社が退職届の受理を拒否し、退職の意思を受け入れないことは違法となる可能性があります。退職届を受け取ってもらえなかったとしても、適切な手順を踏めば退職は可能です。

  2. (2)給料や退職金が支払われない

    「退職するなら給料を払わない」「退職金は出さない」といった発言をされるケースもあります。

    しかし、会社は労働者に対して賃金を全額支払う義務があります。退職金に関しても、就業規則や雇用契約の支給条件を満たしている場合は正当な理由のない支払い拒否は認められません。

    このような引き止めは悪質であり、法律に反する行為です。もし未払いが発生した場合は、労働基準監督署や弁護士への相談を検討しましょう

  3. (3)損害賠償請求するなどと脅す

    退職の意思を伝えた際、「退職したら損害賠償を請求する」と脅されるケースがあります。しかし、通常は退職の意思を示しただけの労働者に損害賠償責任が発生することはありません。

    雇用期間が決まっていない社員や無期雇用の契約社員であれば、2週間前までに会社に申し入れれば退職できます。正当な理由がないにもかかわらず損害賠償請求すると発言している場合は、脅し行為として違法となる可能性が高いでしょう。

    不当な損害賠償請求の脅しを受けた場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

2、退職の引き止めがしつこい場合の対処法

退職の意思を伝えたにもかかわらず上司や会社からしつこく引き止められる場合は、適切に対応しましょう。とくに悪質な引き止め行為をされるケースでは、毅然とした態度で対処する必要があります。

退職の引き留めがしつこい場合の対処法として挙げられるのは、次の5つです。

  1. (1)退職の意思を口頭で明確に伝える

    まずは、退職の意思を口頭で明確に伝えることが重要です。上司が引き止めようとしてきても、「退職する意思は変わりません」とはっきり伝えましょう。

    曖昧な表現をしてしまったり、追加の交渉に応じてしまったりすると相手が納得せずしつこい引き止めにつながる可能性があります。

    退職したい旨を伝える前に、転職先や今後のキャリアプランを準備しておくのも効果的です。

  2. (2)退職の意思を文面で残しておく

    引き止めがしつこい場合の対処法として、退職の意思を文面で残しておくのも有効です

    退職届やメールなどを提出すれば、後々の証拠として残ります。証拠が残っていれば、会社側が「そんな話は聞いていない」といったとしても退職を申し出たことを証明できるでしょう。

    本来であれば、労働者が退職の希望を申し出た場合、原則として会社側は拒否できないのが通常です。悪質な引き止め行為に備えて、退職の意思を文面でも伝えておきましょう。

  3. (3)内容証明郵便を利用する

    会社が退職届を受け取らない、無視するなどの対応をされた場合、内容証明郵便を利用して退職届を送りましょう。

    内容証明郵便とは、差出人・宛先・差出日時・文書の内容を郵便局が保管し証明してくれる郵便サービスです。

    手渡しで退職届を渡した場合、会社側に「受け取っていない」「紛失した」などといわれるケースもあるでしょう。内容証明郵便を活用すれば、退職届を提出した事実を公的に証明できます。

  4. (4)退職代行サービスを利用する

    直接会社とやりとりすること自体がストレスになっている場合は、退職代行サービスを利用するのもひとつの方法です。

    退職代行サービスとは、労働者本人に代わって代行業者が退職の意思を伝えてくれるサービスです。退職代行を利用すれば、会社と交渉しなくても退職の手続きを進められます。

    ただし、給与・残業代未払いや損害賠償などのトラブルが生じている場合は、退職代行ではなく弁護士に相談するのが望ましいです。

  5. (5)弁護士に相談する

    会社が不当な引き止めを行っている場合は、弁護士に相談することで適切に退職手続きを進められます。

    とくに、以下のようなケースでは弁護士の介入が有効です。

    • 会社が損害賠償を請求してきた
    • 退職金や給与、残業代を支払ってもらえない
    • パワハラや脅迫を受けている


    弁護士に依頼すると会社側との交渉を任せられるため、しつこい引き止めに対応する精神的負担も軽減できるでしょう。

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3、退職の引き止めがしつこい場合の注意点

会社からの退職の引き止めがしつこい場合に、いくつか注意すべきポイントがあります。不要なトラブルを避けるためにも、以下でひとつずつ確認していきましょう。

  1. (1)感情的になって反発しない

    退職の引き止めがしつこい場合でも、感情的になって反発するのは避けましょう。

    しつこく引き止められると、つい感情的になってしまいそうになる場合があります。しかし、感情的に反発すると余計に退職交渉がこじれる可能性があるため注意してください。

    退職交渉では、淡々と論理的に対応する必要があります。引き止められても「退職の意思は変わりません」と繰り返し伝え、余計な議論には巻き込まれないようにしましょう。

  2. (2)退職を伝える時期は繁忙期を避ける

    退職の意思を伝える時期については、できるだけ繁忙期は避けるべきです。

    会社の繁忙期に退職したいと申し出ると、より強く引き止められる可能性があります。また、忙しさで退職の希望にきちんと対応してくれないケースもあるでしょう。

    どうしても避けられない場合でなければ、繁忙期ではなく落ち着いて退職の話ができるタイミングで切り出すのをおすすめします。

  3. (3)退職理由を明確にする

    退職の意思を伝える際には、明確な退職理由を用意しておくことが大切です。理由が曖昧だと、しつこく引き止められやすくなります。

    また、上司への不満や会社の問題点を理由にするのは避けた方がいいでしょう。「上司を異動させる」「業務改善をする」といった条件を提示され、退職がスムーズに進まなくなる可能性があるためです。

    自身のキャリアアップや新しい業種への挑戦などポジティブな理由にすると、引き止められにくくなります。退職理由を直接いえない事情がある際は、退職代行サービスの利用や弁護士に相談することも検討しましょう。

  4. (4)労働条件を交渉する

    以下のようなケースでは、労働条件について会社と交渉する必要があります。

    • 有給休暇の消化を認めてもらう
    • 退職金の増額を求める
    • 残業代の未払い分を請求する


    原則として会社は労働者からの有給休暇の申請を拒否できないため、退職を決めてからも有給休暇を消化できます。また、未払いの残業代に関しては、退職のタイミングでまとめて請求することも可能です。

    会社が拒否する場合は、弁護士に相談することでスムーズに解決できる可能性があります。

4、強引な在職強要は弁護士に相談を|3つのメリット

退職の意思を伝えたにもかかわらず会社が在職を強要してくる場合は、弁護士に相談することをおすすめします

悪質な退職の引き止め行為を弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  1. (1)会社側との交渉を一任できる

    弁護士に依頼すると、会社との退職交渉を任せることができます。

    会社がしつこく引き止めようとする場合、多くの労働者は心理的なプレッシャーを感じ、交渉が困難と感じるでしょう。しかし、弁護士に交渉代行を依頼すれば、労働者本人が直接会社とやりとりする必要はありません。

    弁護士は法的な根拠をもとに交渉し、依頼者を守るための主張を行います。理不尽な引き止めに屈せず退職手続きを進められるでしょう。

  2. (2)不当な圧力に対する法的措置を期待できる

    会社が退職を妨害するために脅しや不当な圧力をかけてくる場合に法的措置を講じられる点も、弁護士に相談するメリットです。

    脅したり怒鳴ったり過度なプレッシャーをかけたりする行為は、民法上の不法行為にあたり慰謝料を請求できる可能性があります。また、退職交渉が難航している場合でも、労働審判を申し立てて解決を図る方法があります。

    会社が労働基準法や民法に違反している場合は、弁護士が適切な対応を取ることで早期解決を目指せるでしょう。

  3. (3)未払い残業代請求などの交渉にも対応できる

    弁護士は、未払い残業代請求などの交渉にも対応できます。以下のようなケースでは、退職時や退職後に未払い残業代の請求が可能です。

    • サービス残業が多く未払いの残業代が発生している
    • みなし労働時間が法定労働時間を超えているにもかかわらず残業代が支払われていない
    • 深夜労働や休日労働の割増賃金が支払われていない


    しかし、労働者本人が交渉しても会社側が取り合わないケースもあるでしょう。弁護士を介して請求することで、未払い分を回収できる可能性が高まります。

5、まとめ

退職の引き止めがしつこい場合には、退職の意思を文面で残し、必要に応じて内容証明郵便を利用することが有効です

また、引き止めだけでなく賃金や残業代未払いがある場合は、弁護士に相談することで、退職と賃金回収を同時に目指すことができるでしょう。

弁護士は、お一人おひとりの状況に適した解決策をアドバイスし、問題の早期解決をはかります。スムーズに退職手続きを進めるためにも、ぜひベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています