会話がない夫婦が家庭内別居から離婚するには? 流れや注意点を解説

2025年02月26日
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会話がない夫婦が家庭内別居から離婚するには? 流れや注意点を解説

家庭内別居とは、離婚せず同居はしているものの夫婦間で会話がなく、生活上の接触がほとんどない状態をいいます。

社会的影響や経済的問題、子どもの環境などを理由に、家庭内別居を長期間続ける方も少なくありません。しかし家庭内別居は、いざ離婚しようとしても難しいケースがあります。

今回は、会話がない夫婦が家庭内別居から離婚する方法とその注意点について、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。


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1、そもそも家庭内別居とはどのような状態?

家庭内別居とは、法的には同居しているとみなされるものの、夫婦関係が形骸化している状態をいいます。

家庭内別居には、法律上の定義があるわけではありませんが、具体的には以下のようなケースが該当するといえます。

  • 一緒に生活していても会話なし、または最低限の会話しかしない
  • 食事を別々にとる
  • 普段から別の部屋で過ごしていて、寝室も別にしている
  • 家の中ですれ違っても、あいさつをすることもなく無視している
  • 長期間夫婦の性交渉がない
  • 休日も別々に行動する
など


家庭内別居の程度は、夫婦によってさまざまですが、共通していえるのは夫婦関係や夫婦生活が完全に冷え切っているということです。

2、会話がない夫婦が家庭内別居から離婚するには?

会話なしの夫婦が家庭内別居から離婚を決断した場合、どのような方法で離婚することができるのでしょうか。

  1. (1)夫婦双方が離婚に同意しているなら離婚可能

    お互いに離婚を考えていれば、離婚そのものは、合意によってすることができるでしょう。

    会話なしの状態が続いていると離婚の話し合いをするきっかけがつかめないかもしれません。しかし、離婚するためには話し合いが必須です。会話が難しい場合は、手紙やメールも検討し、話し合いの機会を設けるよう努めましょう。

    話し合いの結果、離婚の合意に至ったときは、離婚届を市区町村役場に提出することで離婚が成立します。財産分与や親権など離婚条件の取り決めをしたときは、後から約束を反故(ほご)にされないよう、離婚協議書を作成することをおすすめします。

  2. (2)一方が離婚に同意しないときは離婚調停の申立て

    相手が離婚に応じてくれない、または離婚条件で合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。

    離婚調停では、中立な立場で話し合いをサポートする“調停委員”を介して離婚の話し合いが進められます。調停で離婚の合意に至れば、調停成立となり離婚できます。

    離婚調停は、夫婦それぞれから話を聞き取り、直接顔を合わせずに進めることもできるので、話をしたくないといったケースでも安心です。

    ただし、家庭内別居は、客観的に見れば夫婦が同居して生活している状態です。調停委員に夫婦関係が破綻した状態であることをしっかりと説明し、理解してもらう必要があります。

  3. (3)裁判離婚をするなら法定離婚事由が必要

    調停で離婚の合意に至らない場合は、最終的に裁判所に離婚訴訟を提起します。

    裁判で離婚が認められるには、以下の5つの法定離婚事由のうち、いずれかに該当する事情があることが必要になります。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない(ただし、令和6年の民法改正により、今後削除予定)
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    長期間の別居であれば、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の一つになりえますので、別居期間がある程度長ければ離婚が認められる可能性があります

    しかし、家庭内別居は、客観的には同居している状態です。そのため、裁判所の評価が難しいケースが多いです。

    ただし、家庭内別居に至った原因が以下のようなものであった場合には、法定離婚事由に該当し、離婚が認められる可能性があります。

    • 配偶者の不倫
    • 生活費を渡さない
    • DVやモラハラ
    • セックスレス
    • 正常な婚姻生活を維持できないほどの精神病
    など

3、家庭内別居で離婚を進める際の注意点

会話なしの夫婦が家庭内別居を理由に離婚を進める際には、「浮気(不貞行為)の慰謝料請求」や「離婚条件の設定」、「証拠の収集」などについて、以下の注意が必要です。

  1. (1)家庭内別居中に浮気をされても慰謝料請求ができないケースがある

    家庭内別居が“婚姻関係の破綻”と評価される場合には、不貞行為があったとしても、“権利侵害”が認められず、慰謝料請求ができない可能性があります。

    婚姻関係の破綻とは、表面上は婚姻関係を続けているが、実質的に夫婦関係が終わっている状態です。

    婚姻関係が破綻していると、「貞操義務(夫婦以外と性的関係をもたない)」を侵したとみなされない、つまり権利侵害がされていないとして、慰謝料請求が否定されるおそれがあります。

  2. (2)希望する離婚条件を明確にしておく

    家庭内別居をしている会話なしの夫婦では、スムーズな話し合いが困難なケースが多いでしょう。話し合いを進めやすくするためにも、希望する離婚条件を明確にしてから離婚を切り出すことをおすすめします。

    決めなければならない離婚条件は、夫婦によって異なりますが、主な項目としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 親権
    • 養育費
    • 婚姻費用
    • 面会交流
    • 慰謝料
    • 財産分与
    • 年金分割


    親権や財産分与など、相手との交渉が難しそうと思われる項目は、事前に弁護士に相談しておくと適切なアドバイスを受けることができます。

  3. (3)離婚原因を証明する証拠を準備しておく

    裁判離婚になった場合、離婚を請求する側において法定離婚事由に該当する事情があることを主張立証していかなければなりません。

    裁判所に離婚を認めてもらうには、離婚原因を証明する証拠が不可欠になります。家庭内で別居状態にあることがわかるよう、状況別に以下のような証拠を準備しておきましょう。

    • 夫婦の会話がない
      連絡をしていない、もしくは最低限の連絡だとわかるLINEやメール

    • 配偶者から生活費が渡されていない
      預貯金通帳の写しや家計簿

    • 生活を別にしている
      別々の部屋で寝ていることがわかる写真
      日用品や食費が別々に購入されているレシート
      個別の食事記録

    • 第三者からの視点
      家族や知人に家庭内別居であることを相談したLINEやメール
      カウンセラーに相談している記録
    など

4、家庭内別居から離婚を考える場合は弁護士に相談を

家庭内別居状態から離婚を考える場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)親権や養育費、慰謝料請求について最適なアドバイスを受けられる

    離婚にあたっては親権、養育費、慰謝料などの離婚条件を取り決めなければなりません。それぞれ相場や、適切な金額の算出方法がありますので、最適な条件で離婚するためにも、弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう

    家庭内別居は通常の別居と異なり、注意点が複数あります。スムーズな離婚成立のためも、ご自身で離婚の話を切り出す前に、一度弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)相手との交渉を任せられる

    会話なしの状態が長期間続いている仮面夫婦では、離婚の話し合いをすること自体にストレスを感じることも多いでしょう。

    相手と直接顔を合わせて話し合いをするのが苦痛に感じる方は、離婚の交渉を弁護士に依頼するのがおすすめです。弁護士は、代理人として相手と離婚の交渉を行い、依頼者さまの精神的な負担を最小限に抑えます

    また、交渉に不慣れな方は希望する条件を相手に主張できず、不利な条件で離婚を受け入れてしまうリスクがあります。弁護士が交渉を担当することでそのようなリスクを回避することができ、最適な条件で離婚できる可能性が高くなります。

  3. (3)法的手続きのサポートを受けられる

    相手との離婚の話し合いが決裂したときは、家庭裁判所に離婚調停の申立てが必要になります。

    弁護士は、離婚調停の申立ての手続きや、離婚調停の期日に同行も可能です。また、家庭内別居であることを調停委員に理解してもらうため、客観的な証拠集めや、事実に基づいた説明もサポートします。

    もし離婚調停が不成立になった場合も、そのまま弁護士に離婚訴訟の提起を任せることができます。訴訟手続きは、調停よりも専門的かつ複雑なため、法的手続きについては弁護士によるサポートを受けた方が安心です

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5、まとめ

家庭内別居を理由に離婚を進める場合、話し合い(協議離婚)相手が離婚に応じてくれれば離婚することができます。ただし、相手が離婚に同意しない場合または離婚条件で合意が得られない場合は、調停や裁判などの法的手続きが必要になります。

相手との話し合いが難しい場合は、弁護士が代理人として交渉することもできます。まずはベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています