50代で離婚するときの慰謝料相場は? 離婚する理由別増額ポイント
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2022年度の岩手県盛岡市の婚姻件数は2480件で、離婚件数は600件でした。
50代になった夫婦が離婚する場合は、老後の生活を見すえて離婚条件を適切に取り決めることが大切です。特に50代の離婚では、慰謝料や財産分与が高額となる傾向にあります。弁護士のサポートを受けながら、離婚協議などに向けた準備や検討を行いましょう。
本記事では、50代の夫婦が離婚する際の慰謝料相場や、離婚時に請求できる財産分与のポイントなどを、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。
1、50代の方が離婚を検討する際に留意すべきこと
50代の夫婦が離婚する際には、老後の生活を見すえて、お金に関する離婚条件を適切に取り決めることが大切です。
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(1)主に生計を担っていた方の留意点
夫婦のうち主に生計を担っていた方は、離婚に伴って、配偶者(相手)から財産分与などの多額の金銭を請求される可能性が高くなります。
また、会社員・公務員・会社役員などで厚生年金保険に加入していた方は、婚姻期間中の加入記録が年金分割の対象となり、将来受け取れる年金が減ってしまいます。
老後の生活資金をためていたとしても、離婚によってその半分程度を支払うことになるケースもよく見られます。離婚後に残る貯蓄等によって、老後の生活が成り立つかどうかをシミュレーションしておきましょう。
また、財産分与等の金額をできる限り抑えられるように、離婚協議の対応を弁護士に依頼することをおすすめします。 -
(2)専業主婦・パートの方、配偶者よりも収入が少ない方の留意点
専業主婦やパートなど、配偶者よりも収入が少ない方は、離婚に伴って配偶者に財産分与や年金分割などを請求しましょう。
特に50代に至るまで、長年専業主婦やパートなどであった方は、ご自身の貯蓄が少ないケースが多いかと思います。老後の生活を安定させるためには、離婚に伴って十分な額の金銭を得ることが大切です。
弁護士のサポートを受けながら、ご自身の権利を最大限主張し、好条件での離婚成立を目指しましょう。
お問い合わせください。
2、50代の離婚慰謝料相場|離婚の理由やその他の事情による
50代の夫婦が離婚する場合に、争われることの多い金銭的な条件のひとつとして「慰謝料」が挙げられます。
離婚慰謝料は必ず請求できるわけではありませんが、配偶者が「不貞行為」「DV」「モラハラ」などをした場合には慰謝料の請求可能性があります。
慰謝料相場は離婚原因などによって変わるので、弁護士に依頼して適正額の慰謝料を請求しましょう。
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(1)離婚慰謝料は、必ず請求できるわけではない
離婚慰謝料は、必ず請求できるわけではありません。配偶者が離婚の原因を作った場合(=配偶者が不法行為をした場合)に限って、離婚慰謝料請求ができます。
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(2)離婚慰謝料を請求できるケース
一例として、配偶者が以下のような行為をした場合には、配偶者に対して離婚慰謝料を請求できます。
(例)- 不貞行為(不倫)
- DV(暴力)
- モラハラ(侮辱などの精神的な攻撃)
- 悪意の遺棄(婚姻関係破綻をもたらす危険性を容認しての無断別居又は収入があるのに生活費を全く払わない場合など)
- 正当な理由のない性交渉の拒否
これに対して、離婚の原因がお互いにあるようなケース(性格の不一致など)では、配偶者に対して離婚慰謝料を請求することはできません。
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(3)離婚理由別|50代の離婚慰謝料相場
離婚慰謝料の相場額は、離婚の理由に応じて下表のとおりです。
不貞行為 150万円~300万円程度 DV 150万円~300万円程度 モラハラ 150万円~300万円程度 悪意の遺棄 150万円~300万円程度 正当な理由のない性交渉の拒否 50万円~100万円程度
実際には、離婚慰謝料の適正額は具体的な事情によって変動します。
たとえば、不法行為の悪質性(不貞行為であれば回数・頻度・期間・支出額など)、婚姻期間、未成熟の子の有無、被害者側のけがや疾病の有無・状況などが慰謝料額に影響します。
3、離婚慰謝料を請求できなくても、財産分与は請求できる
離婚慰謝料を請求できないケースでも、財産分与は請求できる場合があります。芸能人など著名人の離婚において「慰謝料○○万円」などと報道されているケースでは、慰謝料に財産分与の金額も含まれていることが多いです。
特に50代の方の場合、ご自身の方が配偶者よりも収入が少ないときは、適正な財産分与を受けることが老後の生活の安定につながります。弁護士のサポートを受けながら、適正額の財産分与請求を行いましょう。
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(1)財産分与とは
「財産分与」とは、婚姻期間中に取得した財産を夫婦間で公平に分ける手続きです。
夫婦は互いに協力して生活を送るため、いずれか一方の名義で稼いだお金も、夫婦が共同で稼いだものと評価されます。そのため、夫婦が離婚する際には、財産分与によって婚姻期間中に取得した財産を公平に分けるものとされています(民法第768条)。 -
(2)財産分与の対象となる財産・債務
財産分与の対象となるのは、夫婦のいずれかが婚姻中に取得した財産です。たとえば会社から支払いを受けた給与や、購入した不動産などが財産分与の対象となります。
その一方で、婚姻中に負担した債務も財産分与の対象となります。たとえば婚姻中に住宅ローンを借り入れた場合は、住宅ローン債務の分担も考慮して財産分与を行います。
ただし、婚姻中に取得した財産や、婚姻中に負担した債務であっても、自己の名で取得した(負担した)ものについては財産分与の対象になりません(民法第762条第1項)。
たとえば、相続または贈与によって取得した財産や、ギャンブルが原因で負った借金などは、財産分与の対象外となります。また、婚姻前から有する財産や、婚姻前から負担している債務も、財産分与の対象外です。 -
(3)財産分与の割合
財産分与の割合は、夫婦間の合意によって自由に定めることができます。
合意できない場合は、最終的に裁判所の判断を求めることになります。裁判所は、財産分与の割合を1対1(半分ずつ)と決定するケースが多いです。
ただし例外的に、夫婦のうちいずれか一方の特殊な能力や努力によって多くの財産を得た場合には、貢献度の高い側に多くの財産が与えられることがあります。 -
(4)財産分与を請求する手続き
財産分与は、以下のいずれかの手続きによって請求します。
① (元)配偶者との協議
(元)配偶者と話し合って、財産分与の内容や精算方法などを合意します。離婚前の段階では、他の離婚条件と併せて協議を行うのが一般的です。また、離婚後に財産分与の協議を行うこともできます。
② 離婚調停・離婚訴訟
裁判手続きを通じて、他の離婚条件と併せて財産分与の条件を取り決めます。
離婚調停では、調停委員の仲介によって離婚条件を話し合い、合意による離婚成立を目指します。
離婚訴訟では、裁判所の判決によって離婚の成否および離婚条件の内容が決定されます。
参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所)
参考:「離婚」(裁判所)
③ 財産分与請求調停・審判
離婚後に財産分与を請求する際の裁判手続きです。
財産分与請求調停では、離婚調停と同様に調停委員が関与し、当事者の主張を公平に聞き取りながら財産分与に関する合意の形成をサポートします。
財産分与請求調停が不成立になった場合は、家庭裁判所が審判を行い、財産分与の内容を決定します。
参考:「財産分与請求調停」(裁判所)
財産分与は離婚後でも請求できますが、調停・審判の申立て期限は離婚成立の2年後です。2年間が経過すると、元配偶者との合意による場合を除き、財産分与を請求できなくなるので十分ご注意ください。
4、50代の方が適切な条件で離婚するためには弁護士へ相談を
50代の方が離婚するに当たって、慰謝料や財産分与などの金銭的条件は非常に大きな問題となります。適切な条件で離婚を成立させるためには、弁護士のサポートを受けましょう。
弁護士に相談すれば、法的な相場を踏まえた上で、配偶者に対して提示すべき離婚条件の内容に関するアドバイスを受けられます。
実際の離婚手続き(協議・調停・訴訟など)についても弁護士に一任できるので、労力や精神的負担が大幅に軽減されるでしょう。
50代になってから熟年離婚をしようと考えている方は、お早めに弁護士へご相談ください。
お問い合わせください。
5、まとめ
50代になってからの離婚に当たっては、慰謝料や財産分与などの金銭的条件を適切に取り決め、老後の生活の安定を目指しましょう。
離婚条件を適切に取り決めるためには、弁護士に依頼してサポートを受けるのが安心です。
法的な観点から適正な離婚条件についてアドバイスを受けられるほか、離婚手続き全般(協議離婚・調停離婚・裁判離婚など)の対応を弁護士に任せれば、労力や精神的負担も軽減されます。
ベリーベスト法律事務所は、離婚に関するご相談を随時受け付けております。お客さまにとって望ましい条件で離婚を成立させることができるように、離婚・男女問題の実績ある弁護士がサポートいたします。
離婚を検討している50代の方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています