普通養子縁組したら養育費はどうなる? 請求できるケースや注意点

2025年12月22日
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普通養子縁組したら養育費はどうなる? 請求できるケースや注意点

盛岡市の公表しているデータによると、令和4年の離婚件数は364組、婚姻件数は1094組と、再婚も含め多くの家庭のかたちが日々変化しています。

こうしたなか、離婚後に親権者が再婚し、再婚相手と子どもが「普通養子縁組」を結ぶケースも珍しくありません。このような場合、「元配偶者からの養育費はどうなるのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、普通養子縁組後の養育費の支払義務はどうなるのか、養子縁組の事実を元配偶者に伝えるべきなのかどうか、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が詳しく解説していきます。


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1、普通養子縁組したら養育費はどうなる?

養育費は、未成熟の子どもに対して親が負う「生活保持義務」に基づき、衣食住費や教育費、医療費などの必要な費用を支払うものです。離婚後もこの義務は消滅せず、親権を持たない側が養育費を支払うのが原則となっています

しかし、親権者である親が再婚し、その再婚相手と子が普通養子縁組をした場合、養育費の支払義務に変化が生じます。

普通養子縁組が成立すると、再婚相手である養親が第一次的な扶養義務者となり、元配偶者(実親)は第二順位の扶養義務者になります。つまり、養親が子どもを養うことが基本となり、元配偶者の養育費の支払義務は状況に応じて軽減または停止される可能性があるのです。

ただし、実親と子どもの法的親子関係は存続するため、扶養義務そのものが完全に消えるわけではありません。

また、養子縁組をしたからといって、自動的に養育費の支払いが停止するわけではなく、支払義務を免れるためには、実親(義務者)が養育費減額・免除の調停や審判を家庭裁判所に申し立てる必要があります

2、普通養子縁組後も元配偶者に養育費を請求できるケースはあるの?

普通養子縁組によって原則として養親が扶養義務を負いますが、一定の事情がある場合、元配偶者である実親にも養育費の請求が可能となることがあります

  1. (1)養親が病気で働けない

    養親が病気や怪我などを理由に働けない場合は、無収入になってしまいます。それでは子どもを十分に養育することはできないでしょう。その場合は、第二次的な扶養義務者である実親に支払義務が発生するため、実親である元配偶者に養育費を請求することができます。

  2. (2)養親の収入が少ない

    養親が低収入で、養親だけでは十分に養育できないという場合は、その不足分を実親に請求することができるでしょう。

    ただし、これらのケースに該当したとしても、それぞれの状況に応じて請求できるかどうかは変わります。そのため、自身のケースが請求可能なケースに該当するのかどうか、弁護士に相談してみることをおすすめします

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3、元配偶者に養子縁組を知らせたほうがいいの?

普通養子縁組をしたことを実親に知らせる義務はありません。ただし、以下のようなケースでは通知が必要、または推奨されることがあります。

  1. (1)離婚協議書や公正証書で報告義務を記載していた場合は知らせる必要がある

    離婚時に離婚協議書や公正証書に再婚や養子縁組をした場合の報告義務を記載していた場合は、再婚したことや養子縁組をしたことを相手に知らせる必要があります

    報告義務を取り決めている以上、トラブルを防ぐためにも取り決め通りに再婚や養子縁組については報告しておいたほうがよいでしょう。

  2. (2)返還請求などのトラブルにつながる可能性がある

    たとえ明文の義務がなくとも、養子縁組の事実を知らせずに養育費を請求し続けると、後日、元配偶者から「事情変更による返還請求」や減額請求などの争いに発展することがあります。

    そのため、後のトラブルを防ぐためにも養子縁組の事実は元配偶者に知らせておいたほうがよいでしょう

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4、養育費問題を弁護士に相談するべき理由

養育費問題を弁護士に相談するメリットを4つご紹介します。

  1. (1)元配偶者との交渉を代理できる

    普通養子縁組後も元配偶者に養育費を請求したい場合、元配偶者との交渉を円滑に進めることが重要です。元配偶者が同意してくれればよいですが、そうではない場合、養子縁組後も養育費を支払ってもらいたい事情を話して説得する必要があります。

    当事者同士では感情的になり話し合いがうまくまとまらない可能性があるため、弁護士に交渉の代理を依頼することがおすすめです。

    弁護士が交渉を代わりに行うことで、元配偶者を説得できる可能性が高まるほか、増額交渉を任せることもできるでしょう

  2. (2)養育費を請求できるかどうか法的な観点から判断してもらえる

    再婚相手と子どもが普通養子縁組をすると、原則として実親には養育費を請求できません。

    しかし、再婚相手が病気で働けない、再婚相手が低収入、といった場合に例外的に養育費が請求できるケースもあります。養子縁組後も変わらず実親に養育費を請求できるケース、請求は可能でも減額になるケース、増額になるケースもあるのです。

    しかし、自分のケースで養育費請求が可能なのかどうか、個人で判断するのは難しいでしょう。

    弁護士に相談することで、法的な観点から養育費の請求可否がわかり、状況に応じたアドバイスを受けることも可能です

  3. (3)養育費減額調停への対応を任せられる

    離婚時に養育費について取り決めをしていても、事情の変更があれば養育費の増額・減額が認められる場合があります。

    たとえば実親に養子縁組を伝えた結果、養育費の減額や免除を請求される場合があるでしょう。話し合いが決裂すれば、「養育費減額調停」を申し立てられる可能性が高くなります。

    調停では調停委員の仲介を受けながら、養育費の減額請求について話し合い、合意できなければ「審判」に移行することになります。

    審判になると、当事者の主張や提出された資料などを元に裁判官によってトラブルに関する判断が下される、という流れです。

    これらの対応を個人で行うのは難しいでしょう。相手が弁護士を立ててきた場合はなおのこと、自分に不利な条件にまとまってしまうおそれが高くなります。

    弁護士に依頼して対応を任せれば、裁判手続きや調停・審判での主張・反論も任せることができ、個人で全て行うよりも自分に有利な条件になる可能性が上がります

  4. (4)養育費以外のトラブルについても相談できる

    離婚後、取り決め通りに財産分与が行われていない、慰謝料が支払われない、といったトラブルがあった場合にも、養子縁組後の養育費についての相談と共に行うことができます。

    養育費に関するトラブルにかかわらず、法的な対処が必要であれば弁護士に相談することで適切なアドバイスを受けることができるでしょう

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5、まとめ

普通養子縁組をすると、実親の養育費の支払いは原則として免除される可能性があります。ただし、未払い分の養育費は請求することが可能です。また養子縁組後も請求を続けると、トラブルになる可能性があります。

養育費の問題について自分一人では判断できない場合は早めに弁護士へ相談し、適切な対応を取ることが大切です。子どもの健全な成長のためにも大切な養育費についてお困りの際は、ぜひベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています