浮気現場を目撃した場合の対処方法は? 慰謝料の証拠として有効?
- 不倫
- 浮気現場
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盛岡市が公表している統計資料によると、2021年の盛岡市内の離婚件数は、587件でした。離婚の原因としてよく挙げられるのが配偶者の浮気です。相手の挙動から浮気を疑うのが一般的なパターンですが、中には浮気現場を目撃するケースもあります。
もし配偶者の浮気現場を目撃したら、感情的になってしまい、その場で配偶者や浮気相手に詰め寄ってしまう方もいるかもしれません。しかし、離婚や慰謝料請求を考える場合、冷静に対処しなければ、その後の手続きで不利になるおそれがあります。
今回は、配偶者の浮気現場を目撃した場合の対処法とその注意点について、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。
1、浮気の定義について
そもそも浮気とはどのような行為をいうのでしょうか。以下では、浮気の定義や不貞行為・不倫との違いなどについて説明します。
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(1)浮気の定義
広辞苑によれば、浮気とは「他の異性に心を移すこと」とされています。浮気は、一般によく使われる言葉ですが法律用語ではありません。そのため、配偶者との離婚や慰謝料請求をする際には、配偶者が「浮気」をしたかどうかを明らかにするのはあまり意味のない行為です。
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(2)浮気と不倫、不貞行為との違い
浮気と似た言葉に「不倫」や「不貞行為」という言葉があります。
不倫とは、一般的に配偶者以外の異性との間で肉体関係やそれに類似するような行為を持つことをいいます。不倫という言葉は、法律用語ではないという点で浮気と共通しています。しかし、浮気は、婚姻関係の有無を問いませんので、交際関係にある男女間でも問題になるのに対して、不倫は、婚姻関係にある男女間で問題になるという違いがあります。
不貞行為とは、配偶者以外の異性の間で肉体関係を持つことをいいます。不倫と不貞行為とは、ほぼ同様の意味になりますが、不貞行為は肉体関係に限定されているという点で、不倫よりも狭い概念になります。また、浮気や不倫とは異なり、不貞行為は、法律用語になりますので、離婚や慰謝料請求をする際には、配偶者の行為が「不貞行為」に該当するのかが重要になります。 -
(3)不貞行為に該当する可能性が高い行為
不貞行為に該当する可能性が高い行為としては、以下の行為が挙げられます。配偶者以外の異性と肉体関係があった場合だけでなく、配偶者以外の異性と肉体関係があったと推認できる状況も含まれるのがポイントです。
- 配偶者以外の異性と性交渉をした
- 配偶者以外の異性とラブホテルに泊まった
- 配偶者以外の異性と一緒に風呂に入った
- 配偶者以外の異性とベッドの上で裸で抱き合っていた
2、浮気現場を目撃した場合の対処方法
配偶者の浮気現場を目撃した場合には、以下のような対処法が考えられます。
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(1)気付かれないように冷静に行動する
配偶者の浮気現場を目撃してしまうと、裏切られたという思いから感情的になってしまい、冷静な行動ができなくなる方も少なくありません。
しかし、浮気現場を目撃した時点で、相手がこちらに気付いていない場合には、不貞行為の証拠を集める絶好の機会になります。そのため、焦って行動して証拠収集の貴重な機会を無駄にしてしまわないように、冷静に行動することが大切です。 -
(2)不倫の証拠を確保する
浮気現場といっても、以下のようにさまざまな状況が考えられます。
- レストランで異性とふたりきりで食事をしている
- 遊園地や水族館で異性とふたりきりで遊んでいる
- ふたりでラブホテルに入ろうとしている
- 配偶者が異性の自宅に出入りしている
浮気現場の状況によっては、不貞行為が行われる可能性が高いものから、それだけでは不貞行為があるとは推認できないものまでさまざまです。
たとえば、ラブホテルは、一般的に性行為などをする目的の施設になりますので、ラブホテルに出入りする状況を写真や動画で撮影することができれば、不倫を立証する大きな証拠となります。他方、レストランで異性とふたりきりで食事をしている状況を目撃しただけでは不倫を立証することは難しいといえます。
なお、不倫を立証する証拠は、不倫をしている状況によって異なりますので一概にはいえませんが、以下のようなものが証拠になることが多いです。- 配偶者以外の異性と性行為をしている動画や写真
- 肉体関係があったことを示す内容のメールやLINE
- 不貞行為を認めた音声データ
- 探偵や興信所(信用調査会社)による調査報告書
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(3)十分な証拠が集まるまでは離婚を切り出さない
配偶者の浮気現場を目撃したとしても、すぐに配偶者を問い詰めて、離婚を切り出すのは禁物です。十分な証拠がそろっていない段階で離婚を切り出してしまうと、相手に言い逃れされてしまい、有利な条件で離婚をすることができなくなるリスクがあるからです。
少しでも有利な条件で離婚をしたいという場合には、焦って離婚を切り出すのではなく、不貞行為があったという確実な証拠を入手できるまで、相手に切り出さないようにしましょう。
3、浮気現場でしてはいけない行動
配偶者の浮気現場を目撃したとしても、以下のような行動は避けてください。
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(1)暴力や脅迫
配偶者の浮気現場を目撃してしまうと、頭に血が上って配偶者や不倫相手に詰め寄ったり、暴力をふるったり、暴言を浴びせてしまうこともあります。
しかし、相手に対して殴る、蹴るなどの暴力を振るうと、暴行罪や傷害罪などに問われる可能性があります。また、「殺すぞ」、「職場に不倫をバラす」などと脅してしまうと脅迫罪に問われる危険性もあります。
このように浮気現場での言動によっては、刑法上の犯罪に該当するおそれもありますので冷静に行動することが大切です。 -
(2)SNSに写真や実名を投稿する
浮気現場を目撃したことや浮気現場の写真をSNSなどに投稿する行為は、プライバシー侵害や名誉毀損に該当する可能性がありますので、このような行為も控えるようにしましょう。
浮気をしたという事実が真実であったとしても、プライバシー侵害や名誉毀損は、成立します。これらの権利侵害があった場合には、相手から損害賠償請求を受ける可能性があるだけでなく、名誉毀損にあたる場合、刑法上の犯罪になりますので、刑罰が科せられるリスクもあります。 -
(3)配偶者や不倫相手の職場に連絡する
不倫をしている配偶者や不倫相手に報復する目的で、相手の職場に不倫をしている事実を伝えようとする方もいるかもしれません。
しかし、不倫をしている事実を相手の職場に伝えることは、SNSでの投稿と同様にプライバシー侵害や名誉毀損に該当するおそれがあります。相手にも同じような苦しみを与えたいという気持ちも十分に理解できますが、それは離婚や慰謝料請求といった正当な権利行使により行うべきです。
4、配偶者の不貞行為(浮気)に対してできることは?
配偶者の不貞行為(浮気)が明らかになった場合には、以下のような対応が可能です。
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(1)離婚請求
配偶者が不貞行為をしていた場合、法定離婚事由に該当しますので、裁判離婚により離婚をすることが可能になります。すなわち、相手が離婚に同意してくれなかったとしても、離婚訴訟を提起すれば、離婚できる可能性が高くなります。
まずは、相手との話し合いによる離婚(協議離婚)を目指すことになりますが、相手が離婚に同意してくれない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。調停でも相手が離婚に応じてくれないときは、最終的に離婚訴訟を提起します。離婚訴訟になれば、不貞行為が立証できれば離婚が認められる可能性が高いでしょう。 -
(2)慰謝料請求
不貞行為をした配偶者および不倫相手に対しては、慰謝料請求を行うことができます。ただし、ふたりに対して慰謝料請求ができるといっても、慰謝料の二重取りができるわけではありません。
すなわち、慰謝料額として200万円が相当と評価される事案であった場合、配偶者と不倫相手の双方に200万円ずつ請求することができますが、一方から200万円の支払いを受けたら、他方からは慰謝料の支払いを受けることはできなくなります。 -
(3)一人で対応するのが不安な方は弁護士に相談を
離婚や慰謝料請求を一人で対応するのが不安な方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談をすれば、離婚や慰謝料請求の進め方についてアドバイスが受けられます。離婚や慰謝料請求にあたっては、相手が不貞行為をしているという証拠が重要になりますので、どのような証拠をどのような方法で集めればよいかも確認するとよいでしょう。
また、自分で対応するのが難しい場合には、代理人としてサポートしてもらうことができます。相手との交渉や調停、裁判などすべての手続きを任せることができますので、精神的負担も大きく軽減できるといえるでしょう。
5、まとめ
配偶者の浮気現場を目撃した場合、その場で問い詰めるのではなく、不貞行為をしているという確実な証拠を入手するまでは、相手に悟られないように行動することが大切です。不貞行為の証拠が入手できれば、離婚や慰謝料請求を有利に進めることができますので、焦らず行動するようにしましょう。
離婚や慰謝料請求にあたっては、弁護士によるアドバイスやサポートが必要になりますので、まずは、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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