逮捕されたら弁護士に連絡を! 呼び方やすぐに依頼すべき理由を解説

2025年10月22日
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逮捕されたら弁護士に連絡を! 呼び方やすぐに依頼すべき理由を解説

盛岡市の「第4次盛岡市防犯活動推進計画」によると、令和2年から令和4年までの間、岩手県における刑法犯認知件数は、毎年2500件以上でした。そのうち盛岡市内では令和2年が876件、令和3年が834件、令和4年が842件と、毎年800件以上で推移しています。これらの刑法犯認知件数には、逮捕された人による犯行も含まれます。

突然家族が逮捕されてしまい、家族のためにできることをお探しの方は、弁護士への相談を検討されるかもしれません。しかし、家族につける弁護士はどのように呼べば良いのかわからない方もいるでしょう。

本コラムでは、「逮捕された家族のために弁護士を呼びたい」「弁護士に相談や依頼がしたい」と考えている方に向けて、弁護士の呼び方や、私選弁護人を呼ぶメリットなどについてベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。


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1、逮捕されたら呼べる弁護士は? 誰が呼べる?

もし刑事事件を起こした家族が逮捕されたら、なるべく早く弁護士を呼ぶことが大切です。しかし、逮捕されて呼べる弁護士には3種類あるため、どの弁護士を呼ぶべきか、先に確認しておきましょう

  1. (1)当番弁護士

    当番弁護士とは、逮捕後に被疑者と無料で面会をする弁護士です
    全国各地にある弁護士会と日本弁護士連合会が派遣しています。毎日、当番制で弁護士が待機し、被疑者が身柄拘束されている留置場へ出向けるよう準備しています。

    ① 当番弁護士を呼べる方
    当番弁護士を呼べる方は、以下のとおりです。

    • 逮捕された被疑者
    • 勾留された被疑者・被疑者の家族
    • 被疑者の知人

    ② 当番弁護士を呼べるタイミング
    当番弁護士は、逮捕された直後から呼ぶことができます。ただし、当番弁護士を呼べるのは逮捕後一度だけです

    ③ 当番弁護士が行えるサポート
    当番弁護士は、次のようなサポートが可能です。

    法律相談と権利の説明
    逮捕された状況や今後の見通しについて、無料で相談に応じます。また、黙秘権や弁護人選任権など、被疑者が持つ大切な権利について分かりやすく説明し、権利が不当に侵害されないよう助言します。

    取り調べのアドバイス
    警察官による取り調べに際し、具体的なアドバイスを提供します。たとえば、不利益な供述を避けるための注意点や、供述調書の確認方法などを伝えます。

    刑事手続きの解説とご家族への連絡
    刑事手続きの全体像について説明し、今後の流れが不透明なことによる不安を軽減します。また、ご家族などへの連絡代行など、外部との連携をサポートし、孤立を防ぎます。

    なお、当番弁護士は指名ができません。そのため、普段は刑事事件以外の法律相談を扱っている弁護士が担当になるといったこともありえます。

  2. (2)国選弁護人

    日本では、被疑者や被告人になってしまった際、すべての方が弁護人を付けられる権利(弁護人依頼権)を持っています
    しかし、経済的な理由で弁護士を呼べない方もいるでしょう。そのため、弁護士費用を国が負担し、不利益を受けないようサポートする制度があります。その制度により国から選ばれた弁護士が国選弁護人です。

    ① 国選弁護人を呼べる方
    国選弁護人に依頼するには、定められた基準を満たす必要があります
    まず、勾留や起訴されている状態でなければなりません。また、現金などの資産が50万円以下であることも条件となります。ただし、必要的弁護事件に該当する場合や、裁判所の職権で弁護人をつけられる場合は、資産の金額にかかわらず国選弁護人制度の利用が可能です。

    ほかにも、国選弁護人を呼べるのは以下の方々です。

    • 資産50万円以下で、勾留されている被疑者本人
    • 資産50万円以下で、起訴された被告人本人
    • 刑罰に死刑、無期懲役、長期3年以上の拘禁刑が規定されている事件の被疑者や被告人(必要的弁護事件)
    • 未成年者や70歳以上の被疑者や被告人(裁判所の職権による国選)
    • 言語障害や聴覚障害がある被疑者や被告人(裁判所の職権による国選)
    • 心神喪失は心神耗弱の疑いがある被疑者や被告人(裁判所の職権による国選)

    ② 国選弁護人を呼べるタイミング
    当番弁護士と異なり、国選弁護人は勾留後または起訴後でなければ呼べません
    逮捕直後は対応できないため、取り調べ前にアドバイスを受けられず、不利な発言をしてしまうおそれがあります。

    ③ 国選弁護人が行えるサポート
    国選弁護人は、次のようなサポートが可能です。

    ・今後の見通しや手続きの説明
    事件が今後どう進むのか、刑事手続きの全体像について説明し、不安を和らげます。また、犯罪の種類や事件内容に応じて、どのような捜査がなされそうか、警察がどんな判断をしそうかなどの見通しを伝えます。

    ・ご家族への連絡
    本人の代わりに、ご家族などへの連絡を代行します。孤立を防ぐとともに、ご家族がどのように被疑者を監督していくべきか相談に乗ったり、計画を立てたりします。

    ・刑事手続きにおける弁護活動
    起訴前:不起訴処分を目指し、被害者との示談・警察や検察への意見書提出・証拠取集など、弁護活動を行います。
    起訴後:もし起訴されてしまった場合でも、少しでも刑罰が軽くなるよう、証人とのやり取り・被告人質問の準備・再犯防止策の策定など裁判での弁護活動を行います。

    なお、当番弁護士と同じく、国選弁護人を指定することはできず、どのような弁護士が選ばれるのかはわかりません

  3. (3)私選弁護人

    私選弁護人は、逮捕された被疑者や被告人や家族などが自分たちで選び、費用を払って依頼する弁護士です。法律事務所に直接問い合わせたり、弁護士会から紹介してもらったりして、相談や依頼をするのが一般的です。

    ① 私選弁護人を呼べる方
    私選弁護人は、被疑者や被告人をはじめ、以下のように家族など誰でも呼ぶことができます。

    • 被疑者
    • 被告人
    • 被疑者や被告人の家族
    • 被疑者や被告人の知人

    また、罪を犯してしまい、これから逮捕される心配がある方であっても相談や依頼が可能です

    ② 私選弁護人を呼べるタイミング
    私選弁護人は、いつでも呼ぶことができます。逮捕後・勾留後・起訴後はもちろん、まだ逮捕や捜査がなされていない段階でも、逮捕回避のための相談などが可能です。

    また、事前に弁護士に依頼することで、万が一逮捕されてもすぐに呼ぶことができます。

    ③ 私選弁護人が行えるサポート
    私選弁護人は、弁護士が行える刑事弁護全般を担うことが可能です。当番弁護士や国選弁護人とは異なり、依頼できる内容に制限がなく、より幅広い弁護活動を依頼できます

    ・逮捕前からの対応
    逮捕される前の法律相談はもちろん、逮捕を避けるためのアドバイスをします。また、自首するべきか検討し、必要であれば同行も可能です。

    ・取り調べへの対応
    警察からの取り調べにどう対応すべきか、具体的にアドバイスし、取り調べを受ける側の権利(黙秘権など)についてもしっかり説明します。

    ・事件の見通しと刑事手続きの全般的なサポート
    どのような捜査がなされそうか、警察がどんな判断をしそうかなど、事件の見通しを立て、今後の刑事手続きについて詳しく説明します。

    ・早期の身柄解放への弁護活動
    逮捕・勾留されてしまった場合でも、早期の釈放を目指して弁護活動を行います。反省文を作るサポートや、意見書の提出などさまざまな支援をします。

    ・被害者との示談交渉
    被害者の方がいる場合、本人の代理人として粘り強く示談交渉を進め、事件の解決を図ります。

    ・不起訴、刑の減軽に向けた弁護活動
    起訴前:逮捕・勾留されていてもされていなくても、不起訴処分を獲得するための弁護活動を強力に行います。
    起訴後:万が一起訴されてしまった場合でも、裁判で刑罰が少しでも軽くなるよう、証人とのやり取り・被告人質問の準備・再犯防止策の策定をはじめ、徹底的に弁護活動を行います。

    刑事事件は、早期の弁護活動が重要です。私選弁護人であれば、状況に合わせて適切なタイミングで弁護活動を行うことができます。早期の釈放や不起訴を目指すなら、すぐに私選弁護人への依頼を検討しましょう。

2、刑事事件における弁護士の呼び方

逮捕された本人は、留置場に入る時点でスマートフォンなどの連絡ツールを管理ボックスへ預ける必要があります。そのため、逮捕された本人から自身のメールや電話で弁護士を呼ぶことはできません

しかし、別の方法で本人から弁護士を呼ぶことが可能です。以下では、弁護士の種類別に、弁護士の呼び方を紹介します。家族や知人が呼ぶ方法についてもまとめました。

  1. (1)当番弁護士の呼び方

    当番弁護士は、弁護士や弁護士法人が加盟する弁護士会から派遣されます。

    ① 本人が当番弁護士を呼ぶ方法
    逮捕された本人が当番弁護士を呼びたい場合、警察官や留置管理官に「当番弁護士を呼んでほしい」と伝えましょう。そうすれば、弁護士会へ連絡を行ってくれます。

    ② 家族や知人が当番弁護士を呼ぶ方法
    家族や知人が当番弁護士を呼ぶときは、本人が留置されている地域の弁護士会に連絡しましょう。営業時間は各弁護士会によって異なります。
    盛岡市の場合、連絡先は岩手弁護士会です。

    弁護士会から当番弁護士を派遣してもらうには、以下のような情報が必要になります。

    • 被疑者の氏名と生年月日
    • 被疑者の国籍
    • どの警察署に留置されているか
    • 逮捕された罪名
    • 逮捕された日時
    • 依頼者と被疑者との関係
    • 依頼者の連絡先
  2. (2)国選弁護人の呼び方

    国選弁護人は、国の委託に基づいて法テラスが契約している弁護士です。そのため、国選弁護人を呼ぶには法テラスに連絡する必要があります

    ① 本人が国選弁護人を呼ぶ方法
    国選弁護人を呼ぶときは、当番弁護士を呼ぶときと同様、警察官や留置管理官に「国選弁護人を呼んでほしい」と伝えましょう。
    警察から法テラスへ連絡をすると、法テラスから国選弁護人に連絡が入ります。そして、担当する国選弁護人が留置場へ出向きます。

    ② 家族や知人が国選弁護人を呼ぶ方法
    家族や知人は、国選弁護人を呼ぶことができません。
    本人が要請して国選弁護人が決まり、国選弁護人からの連絡を受けることで、担当国選弁護人とやりとりができるようになります。

  3. (3)私選弁護人の呼び方

    私選弁護人は、本人や家族が法律事務所に相談して依頼する弁護士です。そのため、自分たちで法律事務所を探し、依頼することになります

    ① 本人が私選弁護人を呼ぶ方法
    逮捕前から私選弁護人に依頼している場合であれば、警察官に連絡してほしい弁護士の法律事務所と名前を伝えましょう。警察から連絡を受けた弁護士が留置場に出向きます。
    逮捕前に依頼していなかった場合は、当番弁護士や家族を経由して依頼できる私選弁護人を選び、呼んでもらうのが一般的です。

    ② 家族や知人が私選弁護人を呼ぶ方法
    家族や友人が私選弁護人を呼ぶ場合は、インターネットなどで信頼できる法律事務所を探し、依頼しましょう。依頼した弁護士が留置場に出向きます。
    なお、留置場から離れた法律事務所に依頼すると、弁護士の到着まで時間がかかるおそれがあります。盛岡市周辺で逮捕されてしまった方は、盛岡市にあるベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスまでご相談ください。

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3、家族が逮捕されたらすぐに弁護士を呼ぼう! 私選弁護人を選ぶメリット4つ

家族が逮捕されたら、私選弁護人に弁護活動を依頼するのがおすすめです

刑事事件は逮捕から数日で状況が変わるため、なるべく早く弁護士を呼ぶことが大切です。私選弁護人であれば、通常は依頼が成立すればすぐに留置場へ出向くことができます
そのほかにも、私選弁護人に依頼するメリットを紹介しましょう。

  1. (1)依頼したい弁護人を自由に選べる

    私選弁護人への依頼の場合、インターネットなどから所属事務所や経歴、料金設定、刑事に精通しているかどうかなどを確認し、依頼したい弁護士を自由に選ぶことができます。
    刑事弁護は、身柄拘束の期間や刑罰が科されるかどうかにかかわる重要な役割を持ちます。被疑者の社会生活に大きく影響するため、刑事事件の対応経験が豊富で信頼できる弁護士を選ぶことが重要です

    先述のとおり、当番弁護士や国性弁護人は選ぶことができません。自分たちが信頼できる弁護士を選べるのは、私選弁護人の非常に大きなメリットです。

  2. (2)早期の身柄釈放を目指せる

    私選弁護人は、基本的に逮捕されればすぐに駆けつけます。逮捕後に家族が依頼をした場合でも早急に対応できるため、早期の身柄釈放を目指すことが可能です。

    一方国選弁護人の場合、逮捕されても勾留が確定してからでなければ呼ぶことはできません。勾留が確定したときとは、逮捕から3日程度経過し、さらなる身柄拘束が続くと決まったときです。
    そのため、早期の身柄釈放を目指すには、逮捕直後でも依頼できる私選弁護人を選択するのがよいでしょう。

  3. (3)勾留や起訴を避けられる可能性が高くなる

    刑事事件に精通した私選弁護人を選び、なるべく早く依頼することで、弁護士に任せられることが増えます。
    勾留や起訴を避けるために、私選弁護人は次のようなサポートが可能です。

    • 取り調べについての助言
    • 被害者との示談
    • 証拠収集
    • 警察官や検察官との交渉
    • 反省文や誓約書の作成サポート
    • 意見書の提出
    • 勾留理由の開示請求
    • 勾留についての不服申し立て
    • 再犯防止策の策定
    など
  4. (4)刑事裁判での弁護を任せられる

    逮捕後に勾留や起訴を経て刑事裁判になったとしても、私選弁護人であれば刑事裁判の弁護を任せることが可能です。

    日本では、刑事裁判で有罪判決がなされる確率は99%以上とされています。しかし、私選弁護人の弁護活動により、必要以上に重い刑罰を避けられる可能性があります

4、ご家族が逮捕されたときにできること

家族が逮捕され、警察署から連絡があったときは、なるべく早く以下の対応をしてください。

  • どの警察署に留置されているのかを確認する
  • いつ、どんな犯罪で逮捕されたのかを聞く
  • 被害者がわかっているかを確認する
  • 必要に応じて、本人の学校や職場に連絡する
  • 弁護士に相談する

弁護士に相談する際は、幅広い弁護活動を行える私選弁護人を選ぶことで、本人の早期身柄釈放に期待できます。

5、まとめ

刑事事件で逮捕されると、数日のあいだに状況が変化していきます。そのため、迅速に対応することが非常に重要です。

刑事弁護の実績が豊富な私選弁護人へ依頼すれば、早期の身柄釈放や不起訴につながる可能性は高くなります。

逮捕されるかもしれないと不安な方や家族が逮捕されてしまった方は、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスへ迷わずご相談ください。当事務所には、刑事事件の対応実績が豊富な弁護士が在籍しています。取り調べのアドバイスから刑事裁判における弁護まで、依頼者にとって少しでもよい結果につながるよう尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています