路駐のせいで事故に遭ったら? 違法駐車の過失割合と対応の流れ

2026年02月16日
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路駐のせいで事故に遭ったら? 違法駐車の過失割合と対応の流れ

2025年8月、岩手県宮古市田老の三陸自動車道・上り線において、追い越し車線に停車していた無人の車両に後続車が衝突する事故が起きました。衝突の衝撃で火災が発生し、最終的に2台の車が全焼しています。

本記事では、路駐が絡む事故の過失割合の考え方、路駐車に過失が認められるケース、事故直後の適切な対応、弁護士に相談するメリットまでをベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士が解説します。


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1、路駐の車が原因で事故が起きたら、相手に過失がある? 過失割合の目安

路上駐車との接触事故では、基本的に走行していた側の過失が大きくなるのが一般的です。というのも、道路を運転するドライバーには「前方を注視し、障害物を回避する義務」があるとされており、ただ停車しているだけの車両には、原則として責任は問われにくい傾向があります。

とはいえ、これはあくまで原則論です。停車していた側にも過失が認められるケースは存在します。ここからは、具体的に過失割合がどう判断されるのかを解説していきましょう。

  1. (1)駐車禁止でない路駐は原則過失なし

    駐車禁止でない場所に車をとめていた場合、それ自体は違法ではないため、通常は路上駐車の側に過失が認められることはありません。しかし、「合法であっても危険な駐車」と判断されるような状況であれば、話は別です。

    たとえば以下のようなケースでは、路駐側にも一定の責任が生じる可能性があります

    【路駐側にも責任が生じる可能性があるケース】
    • 夜間や雨天など視界が悪い中、灯火類をつけずに停車していた
    • 道路の半分以上をふさぐようにとめていた
    • 狭い道路で、避けるには対向車線に出るしかない位置にいた


    このように、事故の危険を誘発したと評価される場合には、路駐していた側にも1〜2割程度の過失が加算されることがあります。

  2. (2)「危険を作り出した程度」が過失割合に影響する

    過失割合は、「動いていた側が悪い」といった単純なルールで一律に決まるわけではありません。

    事故が発生した際に重視されるのは、それぞれの当事者が、どの程度「危険を作り出したか」という点です

    以下に、それぞれの側にどのような危険要素があるかの一例を挙げました。

    【路駐側の危険要素】
    • 駐車位置:交差点付近、横断歩道付近、坂道、見通しの悪いカーブなど
    • 駐車方法:車線にはみ出した駐車、二重駐車、幅員を狭める駐車
    • 表示の有無:夜間の無灯火、ハザードや三角表示板なし
    • 交通状況:交通量が多い道路や生活道路で長時間とめていた

    【走行車両側の危険要素】
    • 制限速度超過や減速不足
    • 前方不注視(スマホ操作・脇見運転)
    • 回避行動の遅れ


    これらを総合して、どちらがより危険を増大させたかを判断し、過失割合が調整されます。

  3. (3)判例タイムズの過失割合の一般的な目安

    交通事故の過失割合を決める際、多くの保険会社や裁判所で参考にされているのが『別冊判例タイムズ38号』です。この資料には、過去の裁判例をもとにした標準的な過失割合が整理されており、「路上駐車車両との事故」のケースも掲載されています。

    たとえば、走行中の車が停車中の車に追突した場合、基本的には「走行車両:100、路駐車両:0」とされることが多いです。

    ただし、次のような修正要素があれば、路駐側にも責任が発生する可能性があります

    【路駐側にも過失が生じる可能性があるケース】
    • 駐車禁止場所にとめていた
    • 夜間なのに灯火類が不点灯で視認しづらかった
    • 通行の妨げになるような停車位置だった


    逆に、走行車両の側にもスピード違反や前方不注視といった問題があれば、走行側の過失がさらに大きくなることもあります。

  4. (4)実際の過失割合は事故状況・証拠によって変わる

    判例タイムズはあくまで「目安」であり、すべての事故に当てはまるわけではありません。実際には、事故の現場状況や証拠の有無によって、過失割合が大きく動くこともあります。

    特に重要となるのが以下のポイントです。

    【過失割合に影響するポイント】
    • 事故現場の状況:駐車位置、道路の幅、交通量、見通しのよしあし
    • 当事者の行動:速度、前方注視、回避行動の有無
    • 天候・時間帯:夜間や雨天など、視認性に影響する条件
    • 証拠の有無:写真、ドライブレコーダー映像、目撃証言など


    たとえば、事故の直後に撮影した写真やドライブレコーダーの映像があれば、「路駐車両の存在が危険だった」ことを具体的に示す材料になります。これにより、保険会社との交渉や、裁判になった場合の主張にも説得力が増し、適正な過失割合を主張しやすくなるでしょう。

2、【路駐の車を避けようとして接触事故】路駐車にも過失がつくケースとは?

路駐車との接触事故では、一般的に走行していた側の過失が大きく見られます。とはいえ、路駐の仕方や周囲の状況が危険であった場合には、停車していた側にも一定の過失が認められることがあります。

ここでは、実際に過失が認定されやすい代表的なケースを紹介します。

  1. (1)駐車禁止場所に駐車していたケース(交差点・横断歩道・バス停付近など)

    駐停車が禁止されている場所に車をとめていた場合、路駐側に10%前後の過失が加算されるのが一般的です。

    以下のような場所は、法律上、駐停車が禁止されています。

    【駐停車が禁止されている場所】
    • 交差点やその端から5メートル以内
    • 横断歩道や自転車横断帯とその前後5メートル以内
    • バス停や路面電車の停留所の標示板から10メートル以内(運行時間中)
    • 急こう配の坂道やトンネル内
    • 安全地帯や踏切付近


    これらのエリアでの路駐は視界や進路を妨げ、事故の危険を作り出すと判断されやすいため、路駐車に過失が認定される可能性が高まります。

  2. (2)夜間・雨天でハザードや三角表示板なしで駐車していたケース

    暗い夜道や雨天といった視界が悪い状況で、ハザードランプや三角表示板を使わずに停車していた場合も、路駐側の過失が認められやすくなります。

    【過失割合の例】
    • 自動車同士の事故 路駐10:走行車90
    • バイクが接触した場合 路駐20:バイク80


    特にバイクはヘッドライトの照射範囲が狭く、停車車両の発見が遅れがちです。そのため、路駐側の過失割合が大きく修正される傾向があります。

  3. (3)車線をふさぎ反対車線にはみ出さないと通行できない状況を作ったケース

    車線の中央や二重駐車、斜め駐車などで道路の通行スペースを極端に狭めていた場合も、路駐側に10~20%程度の過失が認められることがあります。

    特に交通量の多い幹線道路や見通しの悪いカーブでこのような駐車をしていた場合、「避けようにも避けられない状況だった」と評価される可能性が高いです。結果として、走行車両の過失割合が減らされることもあります。

3、路駐の車に責任を求めるための対処法

路駐の車を避けようとして事故に遭った場合、「相手にも責任を取ってほしい」と思うのは当然のことです。ただし、感情的になってその場でやり取りを進めてしまうと、あとで不利になってしまう可能性もあります。

ここでは、冷静に責任を追及するための基本的な対応方法を整理しておきます。

  1. (1)事故直後にその場で過失割合や支払額に合意しない

    事故の直後はパニック状態になりやすく、相手から「あなたが悪い」「修理代を払ってほしい」といった要求をされることがあります。しかし、その場で過失割合や金額について口頭で合意するのは避けるべきです。

    口頭でも示談が成立してしまうと、原則としてあとから覆すことはできません。まずは警察に事故の届け出を行い、実況見分で事故状況を記録してもらうことが重要です

  2. (2)写真・ドラレコ映像・目撃証言などの証拠を確保する

    過失割合の主張には、証拠が非常に重要です

    事故現場の状況や相手車両の位置、ライトや表示板の有無などを写真に残すほか、ドライブレコーダーの映像や目撃者の連絡先なども確保しておくと安心です。

    証拠がしっかり残っていれば、保険会社との交渉もスムーズに進みやすくなり、路駐側の危険性を具体的に説明できるようになります。

  3. (3)保険会社同士の交渉を見据え、必要に応じて弁護士に相談

    過失割合は保険会社同士の交渉で決まるのが一般的です。基本的には自分の保険会社が対応してくれますが、相手方が強硬な態度を取る場合や争点が多い場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

    弁護士のアドバイスを受けるだけでも、交渉の方針や見通しが明確になり、安心して対応を進められるでしょう。

4、交通事故に遭ったら弁護士へ相談するメリット

路上駐車が絡んだ事故では、「自分にどのくらい責任があるのか判断がつかない」「相手が過失を認めず話が進まない」といった悩みを抱える方も多くいます。

そんなときは、弁護士に相談することが有効な手段となります。法的に正しい判断を得られるだけでなく、面倒なやり取りを任せることで精神的な負担も軽減され、納得のいく結果を目指しやすくなります。

  1. (1)保険会社との交渉を代行してもらえる

    過失割合や修理費のやり取りは、相手方の保険会社や加害者との直接交渉になるケースもあります。しかし、相手方の保険担当者は交渉のプロです。専門用語を並べられて圧倒されたり、「この金額が妥当かどうか」が判断できずに不安を抱えたりする方も少なくありません。

    弁護士に依頼すれば、交渉の窓口をすべて任せることが可能です。相手とのやり取りに追われることもなくなり、仕事や家庭生活への影響も最小限に抑えられます。

  2. (2)路駐車側の過失をしっかり主張できる

    事故現場の状況によっては、路駐側の危険性が軽視され、こちらの過失割合が不当に高く設定されるケースも見られます。

    弁護士は、判例や事故資料をもとに「路上駐車がどの程度危険を作り出したか」を法的に整理し、適切な主張を行います。その結果、過失割合の修正が認められれば、支払う賠償額が減る可能性も高くなります。

  3. (3)訴訟になっても安心して任せられる

    話し合いがまとまらず、訴訟や調停に進んだ場合でも、弁護士に書類作成や出廷などの手続きを一任することができます。

    自分ひとりで対応する必要がないため、精神的にも安定しやすく、生活や治療に集中しながら進められる点は大きなメリットといえるでしょう。

5、まとめ

路上駐車が関係する事故であっても、停車位置や状況次第では、駐車していた側にも過失が認められる可能性があります。

事故直後は気が動転しやすく、ついその場で支払いについて話し合ってしまいがちですが、冷静に対応することが大切です。まずは警察への届け出と現場の記録、そして証拠の確保を優先しましょう。

その上で、「提示された過失割合に納得できない」と感じた場合には、弁護士に相談することで適正な割合へと修正される可能性があります。

冷静な判断と的確な対応を進めるためにも、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所 盛岡オフィスの弁護士にご相談ください

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